広域処理についての違和感 その②
がれきの広域処理について違和感を持っていると昨日分のブログに書いた。
みんなで頑張ろうという話に水を差すつもりはないが、疑問に思うことを思いつくままに記してみたいと思う。昨日の東京新聞の転載記事で十分かと思ったが、あらためて自分の言葉で書いてみることにする。
もしかすると僕の事実誤認があるかも知れないので、正しい情報を知っている方いたらご教示願えればと思う。
①復興が遅れているのは広域処理が遅れているのではなく、政府・行政の不手際なのではないかという疑問がある。がれきの処理の実績は現在6.7%。政府目標の3年以内の処理を実現するには、この春でできれば33%、少なくとも25%は済んでいなければなるまい。
ちなみに今回のがれき総量2250万tのうち広域処理の予定は400万tで、全体の17%だ。仮に今日現在、広域処理分がすべて済んでいたとしても、23.7%しか処理は済んでいないことになる。復興の遅れ、がれき処理の遅れは広域処理が進まないからではないのではないか。
②広域処理は昨年の4月に決定している(誰が、どういう判断で域内処理でなく広域処理にしたかは、環境省に問い合わせても正確な回答は得られなかった)。
4月の段階で各自治体や団体に広域処理のお願いをしたところ、500程の自治体・団体から受け入れを検討するとの回答が得られたという。しかしその後放射能汚染がクローズアップされるに至り、実際の受け入れは進まなかった。昨年10月に再度アンケートをしたときには、受け入れを検討する自治体・団体は50以下に激減した。
放射能の影響がどれくらいあるか、正しいか正しくないか、といったことは措く。科学的にどうあれ、そのことで9割の自治体が受け入れし難いと立場を変えたことを環境省は軽く見ていたのではないか。このときに方向転換し、域内に焼却施設、埋め立て施設を確保するよう、速やか方向転換できていれば、今のように広域処理を強要し、社会問題化することは避けられたのではないだろうか。
方向転換できていれば、大々的な広域処理キャンペーンや(一説には広告費は40億円だと言われている)、細野大臣があちこち飛び回ったりしているエネルギーが復興に直接投資できたのではないかと思わざるを得ない。仮設焼却炉を増やすことは可能だったはずだ。
③住民の不安を無視して広域処理を押し付けることは、住民間の軋轢を誘発するだけで、地域にとっていいことはない。その不安が正しいか正しくないか、過剰反応であるか否かはこの際問題ではない。他に方法があるのにもかかわらず、また、行政の不手際から生じたものであるのにかかわらず、広域処理ありきの姿勢は納得できない。
④おそらく、放射能問題が浮上するまでは、広域処理のスキームは優れたものだったのだと思う。自治体のごみ処理機能は実はかなり高く、地域によっては「ごみが足りない」状況になっているということを今回のことで知った。焼却施設が高い機能を発揮するためには、たくさんのごみを高温で焼くことが求められるが、そのためのごみが足りないのだという。
そこに、運搬費、焼却費、施設のメンテナンス費を国が持ってくれて、ごみを用意してくれるのだから、自治体にとってはいいことだらけだ。環境省も自分達が構築したリサイクルの仕組みをフル活用できるし、予算は沢山使えるし、がれきは片付くしいいことずくめだったのだろう。
⑤環境省という役所は、かつて環境庁だった時代は、規制官庁で、他省庁の行動に対して規制をかけるのが仕事だったが、今回のことで明らかになったのは、リサイクルやあるいは除染活動など、「現場」を持つことによって現業官庁になったということだ。そこには業者との関わりなどが当然生じるわけで、環境省に対するイメージを私たちはあらたなければいけない時期にきているのだろう。環境省は今や公共事業を仕切っている官庁なのだ。
⑥環境省は今回のがれきの量は阪神淡路1.5倍と言い続けてきた。阪神1450万t、今回2250万t。しかし、たとえば、兵庫県災害廃棄物処理推進協議会の資料だと阪神のがれきは1850万tであったとしている。また、運輸省港湾技術研究所の資料では、阪神のがれきは2000万tであるという。
がれきの量は正確に測ることはできないので誤差があるのは当然だが、環境省は今回の処理が大変であるということを強調するために、あえて1.5倍という数字にこだわったのではないかと訝しむものである。
⑦2250万tのうち、広域処理が400万t、残り1850万tは3年で域内処理できるという計算になる。すると、1850万tを36か月で処理するわけで、ひと月あたりの域内処理量は約50万t。広域処理に回す分400万tを、仮にこの処理能力で域内処理すると400万t÷50万tで8か月で処理できる計算になる。広域処理にかける情熱を域内処理に注げば、6か月あれば処理できるだろう。
つまり、3年で処理するという目標を半年伸ばすだけで、今回の広域処理問題はなかったことになる。
⑧阪神淡路の際のがれき処理費用は、1t当たり12000円程度。広域処理ではその2倍から3倍の費用がかかると言われている(もし違ったら正しい数字を教えて下さい)。そりゃそうだよね、大阪とか九州まで運ぶというのですから、運搬費は青天井だろう。上述したように他に方法があるのだとしたら、このコストは不要なはずではなかろうか。
⑨域内処理を進めることで、現地の雇用も確実に確保される。他の地域に運搬費や処理費をバラまくのでなく、被災地にお金と仕事が落ちる仕組みを考えるのが何より重要だと思う。
困ったときはお互いさまだ。みんなで協力し合うことを否定するつもりはない。手間ひまかかっても、みんなで分かち合うほうがいいという意見もあるだろう。
ただ、政府は自らの不手際を広域処理を受け入れない自治体や反対を表明する住民に転嫁すべきではない。また、本来かかる必要のない予算をばらまいてしまっているとしたらそれはあらためるべきではないか。阪神淡路と比較して、明らかにもたつている感があるのだから、そこは素直に反省し、ひとつの方法にこだわらずに柔軟に対応していただきたいと思うのです。
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