「クライマーズ・ハイ」を観る
公開中の映画、「クライマーズ・ハイ」を観る。
原作(横山秀夫著)は何年か前に読んだ。あまりの面白さに、日航機事故への関心が高まり、続けざまに山崎豊子の「沈まぬ太陽」も読んだ思い出がある。
内容は、史上最悪の航空機事故「日本航空123便墜落事故」をテーマにしたものだが、事故そのものではなく、事故報道を巡る地元新聞記者の苦悩と奮闘を描いた秀作である。
ストーリーの面白さはもちろんだが、上毛新聞とおぼしき「北関東新聞」の記者たちの活動の様子や、意識、心の機微などがうまく表現されていて興味深い。
例えば、飛行機墜落地点が未確定の段階での心の動き。長野側に落ちていれば他人事、群馬側に落ちていれば歴史的な事故を取り扱える絶好のチャンスだと考える記者心理。
あるいは、「大久保清事件」や「連合赤軍事件」などで名をあげた古参記者が、「日航機事故」により名声を後輩達に奪われるのではないかとやっかむ心情。
地元紙と中央紙と通信社(共同通信社)との力関係や駆け引きも面白い。プライドがぶつかりあう反面、自分達がカバーできない部分を通信社に頼るなれあいの実態も描かれ、上毛の記者であった作者でなければ表現しえなかったであろうリアルさだ。
映画は長尺ながら、ダレることない展開で最後まで緊張感が途切れることはない。上述した記者の世界の話は、多少の予備知識があったほうがいいかと思われるが、原作を読んでいなくても十分楽しめる。
原作よりも、主人公の心の動き、慎重な主人公が自分の殻を破って一歩前へ進むことを主題として丁寧に扱っていて、それはそれで可。出生のエピソードや社主との関係など消化不良の設定も多いが、全体として面白かったので、まあそれも良しとする。
あの事故の日、僕は高校一年生。友人二人と湘南の海へ海水浴に出掛け、民宿のテレビで事故報道を夜中まで見ていた。仕事で記者さんと付き合うようになって、記者の世界を知るようになってから、あの日何をしていたか尋ねることがある。年配の報道関係者はあの日のことをみなよく覚えている。自分がどこにいて、どうやってその一報を知ったか。現場に行った、行きたかったけど行けなかったなど、それぞれの思いを持っている。
群馬にはたくさん事故関係者がいて、それぞれの思いを持っていると思う。是非ご覧戴きたい映画だ。
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