カテゴリー「映画」の記事

2008年8月22日 (金)

「クライマーズ・ハイ」を観る

 公開中の映画、「クライマーズ・ハイ」を観る。

 原作(横山秀夫著)は何年か前に読んだ。あまりの面白さに、日航機事故への関心が高まり、続けざまに山崎豊子の「沈まぬ太陽」も読んだ思い出がある。

 内容は、史上最悪の航空機事故「日本航空123便墜落事故」をテーマにしたものだが、事故そのものではなく、事故報道を巡る地元新聞記者の苦悩と奮闘を描いた秀作である。

 ストーリーの面白さはもちろんだが、上毛新聞とおぼしき「北関東新聞」の記者たちの活動の様子や、意識、心の機微などがうまく表現されていて興味深い。

 例えば、飛行機墜落地点が未確定の段階での心の動き。長野側に落ちていれば他人事、群馬側に落ちていれば歴史的な事故を取り扱える絶好のチャンスだと考える記者心理。

 あるいは、「大久保清事件」や「連合赤軍事件」などで名をあげた古参記者が、「日航機事故」により名声を後輩達に奪われるのではないかとやっかむ心情。

 地元紙と中央紙と通信社(共同通信社)との力関係や駆け引きも面白い。プライドがぶつかりあう反面、自分達がカバーできない部分を通信社に頼るなれあいの実態も描かれ、上毛の記者であった作者でなければ表現しえなかったであろうリアルさだ。

 映画は長尺ながら、ダレることない展開で最後まで緊張感が途切れることはない。上述した記者の世界の話は、多少の予備知識があったほうがいいかと思われるが、原作を読んでいなくても十分楽しめる。

 原作よりも、主人公の心の動き、慎重な主人公が自分の殻を破って一歩前へ進むことを主題として丁寧に扱っていて、それはそれで可。出生のエピソードや社主との関係など消化不良の設定も多いが、全体として面白かったので、まあそれも良しとする。

 あの事故の日、僕は高校一年生。友人二人と湘南の海へ海水浴に出掛け、民宿のテレビで事故報道を夜中まで見ていた。仕事で記者さんと付き合うようになって、記者の世界を知るようになってから、あの日何をしていたか尋ねることがある。年配の報道関係者はあの日のことをみなよく覚えている。自分がどこにいて、どうやってその一報を知ったか。現場に行った、行きたかったけど行けなかったなど、それぞれの思いを持っている。

 群馬にはたくさん事故関係者がいて、それぞれの思いを持っていると思う。是非ご覧戴きたい映画だ。

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2008年4月30日 (水)

「幕末太陽傳」を観る

 久しぶりに映画鑑賞の話。
 川島雄三監督「幕末太陽傳」を観る。

 落語好きを自認するものとして観なければいけない作品だが、もともと映画観ないたちだし、僕の生活圏内のレンタル屋はどこも置いてないので、なかなか鑑賞することができがにいた。

 ところが、先日、時間調整のため仕方なく立ち寄ったレンタル屋で、ついに発見!
すぐに新規会員となり借りてきた。

 作品は、落語「居残り佐平次」を主題にしたものだが、他にも落語好きなら思わずニヤついてしまうような見知った場面が続出。「五人廻し」「品川心中」「お見立て」「大工調べ」…、などの名シーンや、それをイメージさせる場面があちこちに現れる。これは楽しい!

 「よかちょろ」から抜け出したような若旦那、菅井きん演じるやり手ばばあ、大見世の見事なセット、何から何まで落語国がよくできあがっている。

 佐平次を演じるフランキー堺の身のこなしが最高。羽織をツッと投げ上げて着るところなんて、超かっこいい。こういうのをイキって言うのかな。晩年の威張った感じのフランキーしか知らなかったから、この軽妙さにびっくり。フランキーの存在感が際立っている。

 昭和32年の作品で、当時ラジオなどで落語が娯楽の中心であったから多くの人が楽しめたと思うが、現在では落語の廓話などを聞いたことがあるなど、最低限の素養がないと楽しめないかも知れない。日本映画を代表する作品と言われ、噂に違わぬ面白さだったが、今となってはマニアにしか評価されないかも。

 オープニングが痺れた。品川の遊郭が舞台だが、まず現在(公開当時)の品川の様子が映し出され、自動車が行き交う現在の品川の状況、近く廃止される“赤線”のことをナレーションが説明しつつ、文久2年の幕末の品川に物語が入っていく。これが妙に自然なのだ。公開当時は、現在の品川と幕末の品川の対比が面白かったのだろうが、平成の御世からすると、幕末の品川と昭和30年代初頭の品川は、ひと続きのように見える。

 江戸の残り香があった時代だからこそ作ることができた作品。幕末の品川と高度経済成長以前の品川には同じメンタリティが存在していたように思えてならない。

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2007年11月 1日 (木)

「椿三十郎」を観る

 あらかじめことわっておきますが、以前書きましたとおり、僕は映画通でもなんでもありません。どちらかというとあまり観ないほうですが、今年は意識的に映画を観ようかなと、教養としての映画鑑賞をしよう、というのがテーマなわけです。ですので、世間の映画好きのみなさん、以下の駄文はシロウトのたわ言と思ってご寛恕願います。

 で、黒澤明監督、三船敏郎主演、「椿三十郎」を観ました。ビデオで。素晴らしかった。素晴らしかったから取り上げたんだけど、最高に面白かったです。観終わったあと、「うひゃー」「さいこー」とか言いながら拍手しちゃいました。

 なんといっても、世界のミフネ、三船敏郎がかっこいい。野性味あふれてて、男っぽくて、強くて、愛嬌もあって、三船敏郎やっぱりすごいって感じ。

 ストーリーは、三船敏郎演じる浪人の椿三十郎が、藩の重役の不正をあばくために立ち上がった若手侍グループの活動をひょんなことから助けるという話。正義感だけで思慮に欠ける若手グループを、椿三十郎が型にはまらない知恵と胆力でひっぱていく様が面白く、ユーモアもふんだんにちりばめられており、痛快娯楽時代劇と呼ぶにふさわしい作品。

 90分ちょっとの短い尺。その分余分なシーンはない。よく考えるとつじつまのあわないところや、安っぽいセリフ回しなんかもあるんだけど、そんなの全然問題にならないくらいにテンポよく進むストーリーに感服。

 見終ったあとに知ったんだけど、今度織田裕二主演でリメイク版が公開されるらしい。えーっ、織田裕二? ちょっとイメージ違うなぁ。重厚感と無頼な感じが足りない。

 では、現代の俳優で誰が適役か。江口洋介かな、あんまり強そうじゃないな。佐藤浩一もいいね、けど愛嬌が足りない。阿部寛がいいんじゃないかな。ちょっと顔が洋風すぎるけど。なんて、考えてると、なかなかいい役者がいない。三船敏郎のよさがよく分かるというものです。

2007年9月 4日 (火)

「素晴らしき哉、人生!」を観る

 今年は映画を見ることにしました。去年から選挙終了まで、まったく余暇もなく、本も読まない状態が続きましたが、選挙も終わったし、少し自分の時間を持とう、ついては今まで映画なんぞはゆっくり見られる時間もなかったので、教養として「名画」と呼ばれるものを見てやろう、ということにしました。

 石関代議士が映画好きということもあり、ときどき映画の話もでるし、子供も手がかからなくなってきたので時間も作れるようになったということもあります。

 すでに春からときどきDVDを借りてきては見ています。レンタル屋さんで映画を借りること自体、何年もありませんでしたので、なんだか新鮮な体験です。

 で、今日観て面白かったのは、フランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生!」です。アメリカの良心ともいうべき映画、通俗的なストーリーだけど、ラストシーンでは滂沱の涙でした。「情けは人の為ならず」、あるいは「積善の家に余慶あり」というか、人生を真面目に生きることは大切なことだと思いました。

 ストーリーの解説はウィキペディアを頼りましょう。

【自分の夢を追いながらも田舎の小さな町で過ごさざるを得なくなっていたジョージ・ベイリー(ジェームズ・ステュアート)は、町一番の富豪であるポッター(ライオネル・バリモア)の圧力に負けず、真面目に働いていた。家庭にも恵まれて、事業も好転しつつあったが、そんな彼に不幸な出来事が起こる。そして、生命保険のために自殺を図ろうとした彼に「天使」は舞い降りた…。】

 最近のドラマも映画も、「涙もの」はたいてい人が死ぬ。人が死んで悲しいのは当たり前で、そんなことで泣いてどうする、と思うことしばしばです。僕はテレビでもなんでもよく泣きますが、人の死や病気のシーンではあまりなきません。この映画のように、人の心の温かさや、友情には弱いですね。

 ちなみに、ウィキペディアによれば、アメリカ映画協会が選ぶ「元気が出るアメリカ映画ベスト100」では1位に、同協会の「アメリカ映画ベスト100」では11位にランクイン、の名作だそうです。日本人の大好きな、古き良き敬虔なアメリカがありました。

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