品田さんのこと
5日の金曜日のことだ。ラジオのニュースから聞き覚えのある名前が飛び出した。
藤岡の下久保ダム付近に車が転落する死亡事故があり、遺体が「しなだみつよし」さんだとして身元確認を急いでいるとの報道だった。
「品田光美」さんだとすれば、よく知っているデジタルホーン奏者だ。御巣鷹山で鎮魂の演奏をすることをライフワークにしている品田さんであれば、下久保ダムのあたりを走っていても不思議はない。
すぐに車を止め、藤岡署に電話をして確認してみると、どうやら私の知っている品田さんに間違いないようだ。
品田さんを紹介して下さった諏訪さんに急いでお報せすると、愕然とした様子が電話越しに伝わってきた。今年の秋にコンサートを企画していて、すでにチケット販売を始めたところだという。これまでは別の仕事もしていたが、いよいよ演奏活動に絞って食べていこうと決意したばかりだったとのことだ。
品田さんのコンサートをお手伝いしたことは、以前このブログでもふれた(デジタルホーンって知ってますか)。その後も、何度かお電話でやりとりをし、お互い世界は違うけれど世にでられるよう頑張りましょうと、淡いながらも存在を気にしあう関係だった。
亡くなられたあとで知ったことだが、家庭生活は不遇であったようだ。ミュージシャンとしてもこれからという方ではあった。しかし、地道なコンサート活動や鎮魂演奏など、彼のやさしい生き方と人柄に多くの人が共感し、たくさんの人が彼を応援していたのも事実だ。諏訪さんによれば、彼を慕う人達が集まって、残された方々の交流も始まったようだ。
「田島さんはきっといい政治家になります。私には分かります」と予言めいた物言いで激励して下さったことが思い出される。いつか慰霊登山にご一緒させていただきたいと思っていたのに…。事故とはいえ、志半ばで亡くなられ、残念でならない。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
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以下、諏訪さんが企画していたコンサートにもふれている新聞報道を転載します。
■品田光美さん死去 御巣鷹で鎮魂のデジタルホーン
520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故の現場に、電子楽器「デジタルホーン」の優しい音色を響かせ、遺族の心を癒やしてきた前橋市広瀬町の品田光美さん(57)が死亡した。品田さんの音楽活動を支えてきた関係者が6日、前橋市内に集まり、早すぎる死を悼むとともに追悼コンサートの開催に向けて動きだした。
約30年の交流がある藤岡市の会社員福田隆史さん(57)によると、品田さんが墜落事故現場の「御巣鷹の尾根」で演奏を始めたのは1997年8月。その後も事故が起きた8月12日に御巣鷹に登り、事故で亡くなった坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」などを演奏していた。
品田さんはほかにも月一回ほどのペースで墜落事故現場へ行き、デジタルホーンを吹いていた。追悼コンサートを計画している太田市の会社役員諏訪隆志さん(61)が知り合ったのもそのときだった。
諏訪さんは2003年4月、初めて御巣鷹山に登り、御巣鷹の尾根の「招魂之碑」前でデジタルホーンを吹いていた品田さんと出会った。「心にしみいる音色に感動し、すぐに連絡先を交換した」
07年2月に諏訪さんが亡父のアトリエを改装した美術館を開くと、品田さんが駆けつけて生演奏。これを機に交流が深まり、昨年8月には自らコンサートを企画。好評だったため今年も10月に開催する予定だった。
しかし、品田さんの死を受け、昨年のコンサートを収録したCDをかけ、音楽仲間による追悼ライブの二本立てのコンサートにする考えだ。「品田さんの音楽は人々の心を癒やす音色。多くの人に聞いてほしい」
福田さんも「品田さんは自分のことより、人のことを心配してくれる人だった。デジタルホーンの優しい音色そのものでした」と話す。品田さんの音楽が人々の心に残り続けることを祈っている。
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県警の調べでは、品田さんは4日、乗用車を運転中に藤岡市内の道路脇のがけから転落して死亡した。御巣鷹から前橋市に戻る途中だったとみられている。
(H21.6.7 東京新聞 加藤益丈)
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